27. ところでGS-400RC/TRはどうなってる?

光軸合わせで四苦八苦し、副鏡のセンターが怪しいということで田中光化学さんへ持ち込んだGS-400RC/TRです。

 

まず、持ち込んですぐに大型高精度平面鏡によるヌルテストです。
人工星を平面鏡へ向けて、折り返されて返ってきた光をビームスプリッターで観察します。セットしてすぐ覗いても光の点が踊っています。鏡面の温度が室温に馴染むまでは評価できないようです。

 

その後、どんな具合か問い合わせてみました。

やはり、副鏡のセンターマークは副鏡の中心に刻印されていないとのこと。
副鏡は凸双曲面なので直接光学中心を見分けることはできません。人工星の状態を見ながらズレをキャンセルする方向で調整していくとのことです。

また、フォーク式赤道儀を想定していますので、スイングスルーのクリアランスを確保するためバックフォーカスを移動させた場合にどのような影響が出るかも教えていただきました。

 

本来の設計値(フラットナー無し)

 

バックフォーカスを2、3センチ短縮し、フラットナーで周辺像を補正したとき

 

バックフォーカスを短縮し、かつ、副鏡の1mm程度のズレを主鏡・副鏡向い合わせで光軸調整し、フラットナーで補正したとき

実際は、これらに面精度の影響が加わります。
バックフォーカス変更による星像肥大が顕著なため、設計値のままとしていただきました。

 

GS-400RC/TRの接眼部はチープで性能を発揮できないという話は、以前から知っていましたが、他にも改善しなければならないところがあり、アマチュアには難しい作業もあります。

一つ目は、主鏡セルの保持方法です。

主鏡は5本の爪と9点のパッドで支持された主鏡セルをバックプレートに設置された押し引きネジで調整する単純な機構です。これは小口径であれば普通であり問題はありませんが、40cmとなるとかなりの重量を押し引きネジが支える形になります。

ここで押しネジを緩めると、
引きネジ用のバックプレートの穴はバカ穴で、わずかに隙間がありますから、主鏡セル全体がズリ落ちてしまいます。これを避けるには鏡筒を上に向けるしかありませんが、副鏡の調整時にレンチを落としたら一巻の終わりですからやる人はいないでしょう。

 

 

二つ目は、バッフルチューブの迷光防止です。

一つ前の図のように遮光環がありません。海外の掲示板でも語られており、対策部品として、このような製品があり、私も購入しています。ですが、屈折鏡筒のように計算された位置と大きさの複数の遮光環には及ばないと思います。
田中光化学さんにはバッフルチューブ内部に2枚の遮光環を取り付けてもらいました。

 

 

かなり時間がかかりましたがフルチューンされた鏡筒が返ってきました。
特に意味はありませんが、ホログラフィックレーザーを当ててみます。
ズレているように見えますが、副鏡の中心ズレを主鏡とともに傾けてキャンセルするように光軸修正されていますので、この手のツールは参考になりません。
実際の星像で確認するしかないです。

イレギュラーな光軸調整を行なっていますので、自分で修正しないほうが良いと言われています。

 

改造された主鏡光軸調整部分です、スプリングで引っ張る一軸構造になっていました。

型番が変わってしまいました(笑)
大きな丸い円盤が光軸調整ネジです、その上の小さなネジは改造前の名残りで機能していません。