26. スイングスルーってなんのこと?

赤道儀には1つのシリーズで大きさの違うモデルが用意されているのが普通です。
どのモデルを選べばいいのでしょうか?
ドイツ式赤道儀の場合は、搭載可能重量が一つの目安になりますね。
フォーク式の場合はどうでしょう?
下の図を見てみますと、北天を向いた時カメラ側がマウントに接近していますね。
赤緯軸からマウントまでの距離はスイングスルーと呼ばれています。
北天に向けなければいいのでは? その通りです。
でも赤道儀の制御機器やソフトウェアによっては勝手に北天に向く場合があります。
例えば、PlaneWaveのLシリーズはエンコーダーの原点検出時に北天を向きます。原点検出は電源を入れるたびに必ず行う必要があります。また、モデリングというエンコーダー値と実際の星の位置を一致させる初期設定操作の際にも北天に向きますし、極軸合わせも天の北極で行いますから北天を向きます。
つまり、載せたい鏡筒の長さによって必要なフォークアームの長さが決まることになります。PlaneWaveのLシリーズでは赤緯もバランスを取る必要がありますので、バランスを取った状態でのクリアランスを想定することになります。
その意味で、カセグレン系トラス鏡筒はボトムヘビーなため相性がいいです。

私の鏡筒はバックフォーカスが長い(300mm)ためCDKなどに比べると不利です。そのせいで、ご覧のように閉じたルーフの天井に接触するケースがあり、降雨によるルーフ自動閉動作は危険です。

PlaneWaveではL-350でも搭載重量的には運用可能ですがスイングスルーの点で不可でした。Mathis InstrumentsでもMI-500ではスイングスルーできないのでフォークアーム部分だけMI-750にするハイブリッドモデルを検討してたわけです。