また鏡筒が来るよ、のための準備

L-500、せっかくバランス取れたのに載せ替え

 

ようやく機材が落ち着いたかと思いきや、また鏡筒をポチってしまい(5月のこと)、納期は2〜3ヶ月ということでしたので、もういつ来てもおかしくない時期に。
さて、どうしたものかと。...無計画ですな。

16インチRCとε-180EDをL-500に載せてどうにかバランスを取ったのですが、もう一台の赤道儀EM-400にはすでにCCA-250とFSQ-106EDPが載っています。
マッチプレート(アルミ板に穴を開けただけですが10kgもある)に並列同架して推定重量41kg!すでに最大搭載重量をオーバーしてますね。
さらに20kg近く追加したらどうなるのでしょう?
ツイッターのフォロワー様からは極軸を支えている爪が折れるよ、とのお告げが、怖い。いやすでに怖い。
各部をちまちま肉抜きしてもたかが知れてるし。
ということで結構悩んだ末に選んだのはL-500にもう一本載せられないだろうか? です(笑)

 

お気づきかも知れませんが、旋回中にバランシングアクセサリーがチラッと見えます。下のこれです。
標準付属の3個のウェイトにEQ6R用の5kgを2個追加しています。
トータルで19kgくらいだと思います。もしかしたら、これを外して代わりに鏡筒をこっち側に取り付ければバランス取れるかも。ドイツ式と違いフォーク式はカウンターウェイトは基本いらない方式なんだし。

 

16インチRC + ε-180ED + CCA-250を単純に足すと80kgくらいと思われます。
この赤道儀の最大搭載重量は91kgですので可能性としてはありですよね。
となればやってみるしかないです。

DEC(赤緯)のバランスはアリガタ・アリミゾで固定している鏡筒を前後にスライドするだけですので簡単です。手順は簡単という意味で、実際やるのは重労働です。

RA(赤経)のバランス取りは2つ方法が用意されています。
①フォークアーム底部のスライド機構をレンチで調整してずらす。
②ベースモーターとフォークアームの接続ポイントをずらす。
 緑色のラインがベースモーターとフォークアームの接合面です。

①の方法
こちらの調整は両脇に見えるボルトを緩めて、写真のようにソケットレンチで南北に重心を移動します。長穴の範囲内でしか移動できませんので微調整用という感じです。

 

②の方法
下の写真は北側から見たものです。
ベースモーターの上には黒い四角いベースプレートがあり、8個の長穴と6個のボルト位置の組み合わせで南北に偏心させることで、大きく重心を変えることができます。
ケーブルを通す穴はずらしても剪断されないようにでかい長穴になってますね。
最初の設置時に、どの穴を使うかを判断する支援ツールとしてExcelシートがダウンロードできますが、L350用しか見つけられなかったので私は勘でやりました(笑)
ちなみに2本の飛び出ているボルトはショルダーボルトと言って、フォークアームを載せるときにアームの底の穴に引っ掛けるためのものです。赤道儀ウェッジの場合はこの黒いプレートが手前に55°くらい傾いていますので、持ち上げながらネジ穴を探すという地獄から解放してくれるありがたい存在です。

①の方法は全部載せたまま行えますので、とても楽です。
②の方法は上に何か載っているとできませんので、鏡筒とフォークアームを一旦下ろすしかありません、これは大変な作業です。

上の写真はマニュアルから引用したのですが、極軸高度調整が2本の六角ボルトになってますね。自分のは下の写真のように歯車のようなナットがついてます。改良されたのかもしれません。

 

今回は、16インチRC、ε-180ED、CCA-250の3本を載せるチャレンジですが、②は極力やりたくないのは明らかですね。なので②は現状のまま変更せず、①だけで済ませたい、マジで。
鏡筒の配置は、内側中心に一番重い16インチRCを載せ、RCの外側にε-180EDを、フォークの外側にCCA-250を載せることにしました。なんとなくバランスが取れそうな気がしたというふわっとした判断です。

 

やってみました。
電源を入れて北東へ向けた状態です。バランシングアクセサリーを外しましたので、ウェイトが床に当たって今までは向けられなかった方向へ、今回は向けられるようになりました。
バランスはDisconnectしてフリーにして手でクルクル回した感じでは良さげです。今のところ①の微調整だけで済んでいます。これはいけるかも!
六角レンチを鏡筒に落としやすいので段ボールをドーナツ型に切ってミラーをカバーしています。

 

ちゃんとバランスが取れているかは、モーターチューニング(Auto Tunerコマンド)をやってから、日中でもいいので色々な方向へ向けて恒星時駆動し、変な振動が起きないか確認します。RMSが0.2"以内であれば問題なしですが。

 

左下の緑色の数値の上がRA、下がDECです。
北極付近のやや南、問題無し。

 

北極付近の西の方、RAがやや悪いです、

 

北極付近の東側、これもRAがやや悪いです。

 

天頂は問題ないようです。

 

西方向、問題無し。

 

東方向、RAがやや悪いです。

 

南の赤道付近、問題無し。

 

西の赤道付近、問題無し。

 

東の赤道付近、RAがやや悪いです。

 

南の低空、DEC,RAともにちょっと悪いですね。

 

西の低空、問題ないです。

 

東の低空、RAがやや悪いですね、

 

う〜ん、どう評価したらよいものか?
極付近と低空は手で動かしても抵抗があるので、モータートルク不足かもしれません。
DECはバランスが取れているようです。
RAは東へ向けると数値が悪くなるのはよくわかりませんが、搭載重量オーバーなのかも知れません。80kg/91kgなのですが、おそらく91kgというのは単筒の場合じゃないかと。今回は極軸から離れた位置に2本鏡筒を載せてますのでモーメントが大きくなっていると思います。

RMS 0.4"は実際の星像にどの程度影響を及ぼすのでしょうか?
以前、鏡筒とカメラの組み合わせごとに1画素の秒角を計算してみたので掲載します。

 
1画素あたりの画角(arcsec/pixel) = 画素サイズ (μm) * 206.265 / 焦点距離 (mm)
鏡筒,焦点距離,カメラ,センサーサイズ,縦画素数x横画素数,画素サイズ,画角
ε-180ED, 500mm,ASI2600MM, 23.4x16.7mm, 6248x4176, 3.76μm, 1.55"
CCA-250, 890mm, ASI6200MM, 36x24mm, 9576x6388, 3.76μm, 0.87"
GSO16A, 2600mm, STL-11000M, 36x24mm, 4008x2672, 7.6μm, 0.60"
実際の最微恒星は上記値に光学系の収差と気流による乱れ1.6"程度が加算された像になるようです。

 

右端の画角(単位は秒角)がセンサーの1画素分の画角です。
この範囲の誤差であれば1画素内に収まってしまうので許容誤差ということになります。
これから判断すると、3本の鏡筒についてはRMS 0.4"は問題なさそうです。
ちなみにEM-400でPHD2でオートガイドした場合、平均RMSは0.5"くらいが多いです。

ケーブル1本追加しただけでバランスが変わるので、今はとりあえず良いということにして、微調整しながら追い込んでいきたいと思います。

 

またしても、天体写真が一枚もない記事を書いてしまいました。

 

※ 2023-11-26 追記
GSO16AのカメラをSBIG STL-11000M(水冷)に、外したASI6200MMをCCA-250に替えました。これによって総重量が増えたためか、Planewaveの制御ソフトのAuto Tuner(ペイロード測定)、モデリング(全天一括プレートソルブ)が途中で終了してしまうという問題が発生しています。
このままでも自動追尾については問題なし、自動導入は若干ズレますが画面内には対象が入っているので手動で微調整することで運用で回避しています。
バランスは取れていますので、過積載(慣性モーメントに対するモータートルク不足)だと推定しています(^_^;)また、ε-180EDをフォークのアウトサイドからインサイドに移したため、バランシングアクセサリーが不要となり、これまで北東低空に向けた時にウェイトが床に衝突してしまうという問題は解消しました。

※ 2024-01-24 追記
同架しているε-180EDのカメラ(ASI2600MM)でオイルリークが発生したため修理に出し、その分東側が軽くなったのでバランスを取り直し(修理中ですが他の鏡筒では撮影したいので)、ダメ元でモデリング動作を行ったところ、なんと完走してしまい、写野ど真ん中に対象を自動導入できるようになりました。つまりカメラ1台分の重量オーバーだったということですね。