7. 伐木のキーパーツ

さて、覚悟を決めたところでリソースの確保です。

 

まず、当たり前ですがチェンソー

小さいのは樹上作業用、手持ちでエンジンを始動でき、片手で作業ができるトップハンドル型です。

大きいのは降りてから根元に切り口を入れたり、玉切りしたりするための20インチタイプ、2台あるのは木に食われた(挟まって抜けなくなった)時用のレスキューに使います。

 

次はロープ50m を2本

木の上部に掛けて、懸垂下降します。また倒す方向へ引っ張るためにも使います。

 

ジグザグランヤード

幹にぐるっと回して、フルハーネスに繋ぎ、作業スペースを確保します。

幹の太さは上に行くほど細くなりますから、こまめに長さを調整する必要がありますが、これは荷重のかかった状態でスムーズにロープを出し入れできる優れものです。

電柱を登る人が使う似たような安全帯がありますが、比べ物にならないほど使い勝手がいいです。

 

カラビナとビレイデバイス

懸垂下降で使います。忍者のようにスーっと降りてこれます。エイト環を使う人が多いですが、私はこちらを気に入ってます。

 

名前忘れましたけど、足に付ける爪

鉄の爪を樹皮にグサッとさして体を支え、登っていきます。樹皮に傷がつくので剪定業者やアーボリスト(木に登る趣味?)は使いませんが、今回は伐木ですので問題ありません。サクサク登れます。

 

私の標準装備がこんな感じです。ヘルメットも被ってます。ツナギの下はチェンソーの刃が当たっても怪我をしないよう防護ズボンを重ね着しています。

この写真撮った後、カエデの木に登ってスズメバチに刺されたの思い出しました。

 

私です(笑)トップカットしようとしているところです。高さは20mくらい、腰にぶら下がってるのはハンマー、自分の方に倒れてきたら大変なのでクサビを打って落とす方向をコントロールします。カットした瞬間は木の重量バランスが大きく崩れるので振られます、緊張する瞬間ですね。

 

2週間ほどかかりましたが、怪我なく終了しました。

 

また、後から補足ですみません。

伐木業務は実際はいろいろなシーンがあり、必要な知識や技術も大きく違います。はるか昔、林業が盛んだった頃は山野の樹木を単に伐採するか、材の品質を上げるために間伐や枝打ちをしたりという仕事が大半でした。

現在では、そうした林業で生計を立てるのは難しく(実際は補助金でなんとか産業として生き残っているらしいです)、寺社などの大木の保守や、公園の樹木の管理、台風や大雪などでの倒木の処理などいろいろな需要に分かれています。

林業関連団体が主催するチェーンソー講習会というものがありますが、あくまで平地に立っている樹木を単純に切り倒すだけの技能(と言っても用意された丸太に受け口、追い口を入れるだけの簡単なもの)とチェーンソーの構造やメンテナンスの知識を伝えるだけです。木に登るとか、樹上でチェーンソーを使うなどは想定外です。背景には伐木業務が極めて重大な労災が頻発するため、厚労省が主導して対策を実施しているということだそうです。

樹上での作業を業務でやる場合はまた別の訓練が必要です。前者は2日間コースでしたが、こちらは最低1週間コースです。いわゆる特殊伐採(トクバツと言われてます)で、技量の個人差が大きい業務です。技量によって収入も大きく変わるためか自分の使っている機材やノウハウを同業者に知られるのを嫌います。

今回、たった3本を3日かけて切って見せてくれた特伐業務は、私が素人で熱心なため特別に、むしろ教えるかのように見せてもらえたのは幸運でした。

最後は見ててあげるからこれ切ってごらんという感じです。

なんか天文とは別の奥深い世界にハマりそうになってしまいました(笑)