30. 現地の監視体制

天気予報以外にリアルタイムに知りたい情報ってなにかな〜

・星でてる?、雲ない?
・風は穏やかだろうか?
・ルーフ開けて大丈夫かな?(雪積もってないかな)

という観測所外部情報と、

・望遠鏡の現在の向きとか
・明かりがついてたり、蓋したままだったりしてないよね

といった観測所内部情報と、

・機材は正常に動作しているか?
・インターネット回線は生きてる?

といった機材関連の情報でしょうか。

 

まず、ルーフ開ける前に、空の状態を確認するカメラは必須です。
星が写るくらいの高感度だと嬉しいですね。
既製品はあることはあるのですが物の割には高いなと感じると思います。
そこで、観測所を作る前にリサーチして広角カメラを作りました。
今ならATOM Cam2を使うのもアリだと思いますが、WiFiはイマイチ信用ならないので有線で接続したいです。
実は、観測所を建設する前に自宅のルーフバルコニーで撮影してましたが、3階まで上がって一々確認するのが面倒だという、しょうもない理由でリモートベランダ観測所wをやってました。カメラはその時作ったので、そのまま持っていきました。

 

カメラモジュールは超広角レンズのついたIMX291という高感度センサーモジュールが安かったので迷わずこれで。インターフェースはONVIFというLANに接続するタイプとUSBケーブルでPCに接続するタイプがあります。
常時電源が入っているPCは山小屋の室内の1台にしておきたいので長いUSBはちょっと困るためONVIFにしました。
ONVIFというのは防犯カメラとレコーダー間の標準プロトコルのようなもので、向きを変えたりZOOMしたりがメーカー違いでもできるというものなので関係ないかと思われるかもしれませんが、PC(私はiMac)のCMSと呼ばれる警備員室の画面のようなアプリはほぼONVIF対応なので、この規格に準拠してることがポイントです。
また、PoE(Power over Ethernet)に対応してるものを選ぶとLANケーブルで電源供給もできるので配線周りがシンプルになります、PoEスイッチングハブが必要になりますが最近は安くなりました。

カメラモジュールを収める箱とかアクリルドームとかを調達。

 

基盤を日向に剥き出しにするのはマズイかもということでカメラモジュールは小さなプラケースに入れ、防水ケースにφ100mmの穴を開けて、裏から嵌め込んでグルーガンで止めただけの簡単な工作です。

 

少しゲインをあげれば星も写ります。この画像は自宅で市街地なため夜なのに雲が白く写ってますね。


空を見るカメラとルーフ上を見るカメラです。市販の防犯カメラは赤外線を出すので防犯カメラに見える方も手作りです。
風速計はタワークレーンの先っぽによくあるやつを流用してますが、データとして遠隔監視するのは今の所できていません。先々、クラウドセンサーとか取り付ければ不要になるでしょう。あるいは布切れをぶら下げてカメラで見るとか、マイクをオンにして風切り音で判断するとか...いただいたアイディアですけどw
ガチでやるなら透明度とかシンチレーションを計測するのもいいでしょうがキリがありません、業務ではないのでほどほどにしましょう。

 

次に内部です。

ATOM Cam2 4台とATOM Cam Swing 3台を配置しています。
モニタリングは専用のクライアントソフトで行いますがiOSAndroid用しかありません。クライアントソフトを使うにはメールアドレスが必要ですが最大8台のカメラを登録できます。マルチ画面で4台まで同時ストリーミング再生できますが遅延がありますので実質シングル再生になるでしょう。複数同時に監視するには端末を増やすか、後述のRTSPストリーミングとなると思います。1メールアドレスで8台までですのでそれを超える場合は別なメールアドレスに割り当てることになりますが、Gmailでしたら
XXXX+任意の文字列@gmail.comのように+で別名を作れますので無限にできます。

ATOM Camのコミュニティの要望を受けてRTSPがサポートされました。ファームウェアを最新にするとRTSPが使えるようになり、PCからVLC media playerでストリーミング再生ができるようになるそうです。(私は複数端末派ですw)

最近導入したPlaneWaveの赤道儀は大変動きが早く、わずかな遅延でも緊急停止が間に合いません。これを解消するにはおそらく多大な投資が必要になると思われます。

 

機材や回線の正常性をモニターするのはポータルサイトのように情報を集中させるのは難しいと思われます。個別でよければ以下のような手段があります。

回線の不通や遅延の監視

これもリブーターと同様に中古品は安く手に入れられます。よくパトライトと言われますがこれは商品名ですので、警告灯が一般名称です。スーパーのレジみたいですね。

 

これ自体が一種のサーバーのようなもので、IPアドレスを持ち、異常時(例えばリモート側のping応答が1000ミリ秒を超えた場合とか)に赤色灯を点けたり、メールで知らせるようにしたりできます。
回線事業者によっては注意が必要です。auひかりでは専用のホームゲートウェイが設置されますがping応答をしない設定になっており変更することができません。DMZに何か応答できる機器を置けば使えます。

 

機材の正常性のモニタリング

機材は多岐にわたるので、とりあえず常時電源の入っているリモート側のPCの死活監視だけやっておくくらいでいいかもしれません。
やり方はリブーターの説明のところで監視対象のPCのIPアドレスを登録し、応答がない場合はメールを送信する設定をするだけです。